彼女は会社の後輩でした。生意気で酒飲みで男みたいな性格の女性でしたが、仕事はバリバリこなし、上司に対してもズケズケと自分の意見を言える強い女性でした。その頃は、ほぼ毎日のように若いスタッフで会社帰りに飲み会です。週末は決有楽町のいつもの居酒屋で朝を迎えていました。酒に強かった彼女も終いにはベロベロのフラフラの状態で私はいつも介抱に回っていました。ある日曜日の休日出社で二人だけになりました。以後二人だけで飲みに行くようになり、私の住むマンションにも来るようになりました。会社では先輩面そしている私でしたが、付き合い始めると素の自分が出てきます。引っ込み思案で気弱な性格の私に、バイクの免許を取り立てで東北一周のツーリングに出かけ、時速100キロでかっ飛ばすような彼女には、物足りなくなった様子で、不満を抱いているのがよくわかりました。ある日、徹夜明けで寝ている私のところに彼女が来ました。声をかけられましたが構わず寝ていました。2~3時間彼女は待っていましたが、プイッと帰ってしまいました。彼女の荷物も消えていました。恋人というだけでなく仕事のパートナーでもあった彼女ですから大失態です。会社の連中には内緒の交際でしたから、相談もできません。時には取引先へ出向いた彼女を後から折った時もあります。しかし既に帰っていました。明らかに避けています。何をやっても意識的に避けられたら術はありません。そんな時高校時代の友達との飲み会があり、酔った友人の一人が「女にモテる呪文を、霊媒師から伝授された」というのです。口説きたい女がいるから教えろと言い出す奴、風俗でも使えるのかと聞く奴も出てきましたが、彼は危険な呪文だからと教えてくれませんでした。後日、藁をも掴む思いというのでしょう、その呪文に頼ってみようかという思いが湧き、その友人に電話し呪文を聞き出しました。結果は彼女に会うこともできずに呪文を使う機会すらありませんでした。友人たちに内緒で呪文を聞いたことが、皆に知られて信頼を失い友情も終わりました。疲れていたとはいえ、布団にくるまっていたあの時のことが悔やまれます。
復縁失敗。復縁の呪文も効果なし!!
